先月28日発売の『血の轍』最終巻、読んだわよ。ネタバレ含む感想を置いておきます。前巻の感想はこちらに。
あらすじ
転落事故の影響で生きる気力を失ったママを、自宅に連れ帰った静一。ママはもはや静一が誰かを認識できず、日に日に衰弱していく。
小学館Webサイトより
感想
終わった! 終わったよ~!! 「はやく静ちゃんを楽にしてくれ」と毎巻祈るように読んでた『血の轍』がついに完結しました。
16巻を読んだときに、希望が感じられつつもまだ何悶着かありそうだな~とか思ってたんだけど、案外あっさりまとまったなというのが率直な感想です。いやほんとに静ちゃんの少年時代が壮絶すぎたから、むしろこれくらいがちょうどいい。
年老いてだんだん赤ちゃんに戻っていくママ、見ていて切なかったなぁ。それにしても過去にあんな扱いを受けてもなお、ママに愛情を注げる静ちゃんって何者?(賛美しているわけではない)
母親って神聖視されがちだけど全然そんなものじゃないよなあとか、「無償の愛」って親から子に与えるものではなく子から親に与えられるものだよなとか、わたしは息子と出会ってから思うようになったわけですが、血の轍を読んであらためてそれを感じましたね。
あんな事件が起こらなければとか、ママの呪縛を逃れて吹石さんとくっついてたらとか、家庭を作ってたらとか、もしもの世界は想像したらキリがないけれど、ともあれ静ちゃんなりの穏やかな幸せが見つけられたようでホッとしました。
作者の経験をもとにした作品というのは知ってても、巻末の写真のインパクトは凄まじい。最後の最後で作品の重みがさらに増した気がする。同じ自伝的作品でも、個人的には『惡の華』より『血の轍』のが断然好みでした。ヘビーな内容とは裏腹にセリフ少なめでびっくりするほど早く読める作品でもあるので、これからもときどき読み返したいな〜と思っています。