【感想】『Pearl パール』私はオカン好きだったな【ネタバレあり】

最寄りの映画館での上映が8月3日で終了ということだったので滑り込みで観てきたよ、『Pearl パール』! 22時から0時までのレイトショーだったので体力に自信なくて諦めかけたけど、やっぱり映画館で観られてよかった!

あらすじ

スクリーンの中で踊るスターの華やかな世界に憧れるパール。人里離れた農場で、厳格な母と体が不自由な父に育てられた彼女の愛への渇望が、夢を育み、両親からの異常な愛が、その夢を腐らせていく……。

公式サイト INTRODUCTIONより

感想

前に感想メモした『X エックス』の続編にして前日譚です。まず冒頭で入るタイトル、凄惨なシーンに反して明るすぎていきなり笑った! 画も鮮やかだしグロ控え目(当社比)だしジャンプスケアもないし色気むんむんのイケメン出てくるし、わりとカラッとしたホラーなので夜中でも毛布被らずに安心して観られる映画だと思います。何より演技力に圧倒された映画って本当に久々だったかも。ミア・ゴス、とんでもない女優さんだ……。

ストーリーに関しては、前作観たときはパール婆さんの「老いの苦しみ」って実はそこまで異常じゃなくて誰にでも起こりうることなんじゃないかな~って感じたんだけど、ちょっと今回の続編で見方変わった。パールの抱えてる闇、想像以上に深かったわ……。以下、ネタバレありの感想です。

ネタバレ感想

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パールの自分の都合でしかものを考えられず世間知らずなあの感じ、個人的には若いころの自分(今もか?)を見せられてるみたいで非常にツラかった~!! 顔から火が出まくり。

前作『X』で、パールがマキシーンにダンサー?女優?のような女性の写真を見せるシーンあったじゃん。私はてっきりあれがパールの若いころだと思ってたんだけど、まんまと騙されました。あれはパールのオカンの写真だったのね。

だから『X』のときのパールは「若いころの美貌と名声にとらわれている悲しきおばあちゃん」って印象だったのが、今回の作品でガラッと変わった。そもそもパールの夢は1つも叶ってなかったんや……。スターになれなかった理由はダンスが絶望的に下手だったのもあるけど、“生まれ”や時代のせいもあるというのが、あまりにも不運で悲しすぎた。

しかしダンスの才能に恵まれなかったパールちゃん、“殺し”の才能だけはピカイチでした。まじで犯行と後始末の手際が良すぎて笑った。作業着にスニーカーならまだしも、あのドレス姿で成人男性の死体運んだり女性追いかけて確実に始末するの、完全にプロの仕事でしょ。しかも前の晩イケメン映写技師と散々愛し合って朝6時起きだよ。タフすぎる。あと普段絶対空気とか読めないタイプなのに、あの人間の“嘘”や“違和感”を感じ取るセンスもすばらしかった。

そんなこんなで、自分の「好き」と「得意」って必ずしも合致しないんだよね~ということを深く考えさせられたのでした。

鑑賞後、他の人のレビュー見てたら結構な人数の人が「オカンは毒親」って言ってたんだけどこれだけは言わせて。厳しいのも愛だろ~!!! 戦争や疫病でピリピリしてる中で、夫の介護しながら家族食わせて、一人娘を甘やかさずに育てる母親のどこが毒親ですか……もともとプロだったからこそ見る目はあるから、才能がないと言ってあげるのも優しさだったと思うけどな。

たしかに子どもができて自分のキャリアが台無しになったことへの恨みみたいな気持ちはどこかにあったかもしれない。でも死後の子守唄のシーン観てそこに愛はあったよなって思ったよ私は。

「求めるより、持ってるものを大事にしろ」的なオカンのセリフがあったけど、パールはずっと愛情に飢えてたけど実は近くにあったってところがもう、なんていうか苦しすぎたね。オカンよ安らかに。

むしろ『X』のハワードは“妻想いの夫”って印象だったけど、『パール』観た後だと愛情というより“ただ妻に逆らえないだけの夫”なんじゃないかって気もしてきて怖いね……ひぇえ……。

さてさて、続く三部作の最後は『X』の主人公・マキシーンが活躍しそうな『MaXXXine』! 『パール』はミア・ゴスの怪演もあって見事に“続編のほうが面白い映画”になってたので、3作目もやってくれると思います。めっちゃ楽しみ~!

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