観てからだいぶ時間経っちゃたけど、5~8話の感想を残しておきます。前半(1~4話)の感想はここから。ネタバレ全開です。
5.ピックマンのモデル
原作はH.P.ラヴクラフトの『ピックマンのモデル』。呪われた絵をめぐるドタバタ劇です(雑)。
私が読み取れなかっただけかもしれないけど、ピックマンはただ見たものを描いてるだけだし、人柄も悪くない感じだったし、なんだか主人公よりピックマンに気持ちを引っ張られてしまったな~。
主人公が終盤「僕はいつも喜びに目を向けてきた。美しいものにね」って言ってたけど、個人的には薄っぺらく感じちゃったというか……。闇と向き合ってこそ描けるものもあるし、実際そこに主人公も最初は惹かれてたわけで。まあ人を狂わせちゃうのは勘弁してほしいけどな!
今回のクリーチャーはお目目きゅるきゅる&短足で一番愛嬌があったかも。ちなみにピックマン、同じ作者の別の作品『未知なるカダスを夢に求めて』にも登場するらしいので、今度原作とあわせてチェックしてみようと思う。
6.魔女の家での夢
主演の俳優さん、どこかで見たことのある英国イケメンだと思ったら、ハリポタのロン役の方(ルパート・グリント氏)だった。育成大成功じゃん!
こちらも原作はラヴクラフト。死別した妹にもう一度会いたいお兄ちゃんが奮闘します。わたしは一人っ子だけど(だからこそ?)、きょうだい愛の話は大好物。
亡き妹への愛が暴走するお兄ちゃんがんばれと思いつつも、主人公思いの友達もものすごく良い奴だから「親友の助言聞けよ!!!」って感情が支離滅裂になっちゃった。 「双子」とか、「スピリチュアリスト協会」とか、「人面ネズミ」とか、「いわくつき物件」とか、ワクワクする要素てんこもりもりのストーリー。冒頭のセリフの回収もお見事でした。この話に限らず、死者を無理やり現世に戻そうとしても大抵ろくなことは起こらないんだよな……
ちなみに妹が居た森は「リンボ(limbo=辺獄)」といって、天国と地獄との間にあって、洗礼を受けずに死んだ子どもetcの魂が行きつく場所のことらしい。わたしはカトリックじゃないのでピンとこないが、 リンボと言えばデンマーク(Playdead)のインディーゲーム『LIMBO』も妹を探す話でした。雰囲気最高の死にゲー。
ところで今回の6話の原作『魔女の家の夢』は過去にも映像化されていたそうだ。2005年のアメリカのTVシリーズ『マスターズ・オブ・ホラー』の中の『魔女の棲む館』 というエピソード。円盤化もされてるけど、「恐1グランプリ」っていうネーミングがダサすぎて大草原広がっちゃったな。
7.観覧
中盤まで観て「うわ~、今回一番イマイチかも」って思ってたけど、結果的にトップクラスに好きな作品でした。
大富豪の邸宅に招待された4人の男女たち。ほとんど画面に変化がなく、初対面の大人たちの会話シーンがだらだらと続くのは退屈そのもので、しかも「同調圧力でドラッグに付き合わされる」っていう個人的には超超胸糞悪いシーンもあったんだけど、最後まで観たら全部が吹っ飛んだ。なるほど、ラストへの「溜め」だったのね~。 まじで途中まで退屈すぎて「原哲夫のウイスキー」ってワード以外覚えてないもん。 異形の石の設定は完全にわたしの好みド真ん中だった。
最初の語りでデル・トロちゃんが 「もしも収集家が収集されてしまったら?」って言ってたけど、欲しいものは何でも手に入れる大富豪が、最後あっけなく怪物に取り込まれちゃう姿は可笑しかったなあ。富豪役が『裸のランチ』主演の俳優さん(ピーター・ウェラー)のなのも非常にアツかった!
8.ざわめき
幼い娘を亡くした鳥類学者夫妻の話。 デル・トロ原作だし、最終話だし、これを一番高く評価してるレビュアーもいたので結構期待度高めで観始めたんだけど、私的にはそこまで響かなかったかも。作品が悪いのではなく、わたしがこのドラマシリーズに求めてたのがホラーだったので……。
女性学者が男性社会で感じてる重圧とか、こじれまくってる夫婦仲とか、まあ観ていてつらかった。妻に歩み寄ろうとする夫が拒絶され続ける姿は特に苦しい。ベタベタな洋館での心霊現象はあるものの、 ホラー要素は今回のドラマの中では一番少なかったように思う。
同じ悲劇を経験しても人それぞれ受け入れ方は全然違って、それを乗り越えようとする夫婦の姿が丁寧に描かれてました。言わなくてもわかり合える関係じゃなくて、夫婦だからこそ対話大事だヨネ~。洋館での出会いが良いきっかけになってよかった。 辛い経験を受け入れて再出発って、最終的には普通にいい話。
ちなみにナンシー役の女性は、今回の監督の過去作『ババドック 暗闇の魔物』(2014)にも主演してました。親子もののホラー、機会あったら観てみよう。
まとめ
ふー。オムニバス形式のドラマって感想まとめるのにめっちゃ時間かかるね。全8話観終わって、特に好みだったのは4話『外見』と7話『観覧』あたりでした。ラヴクラフトの2作含めどれも原作を知らずに観たので、ちゃんと読んでたら感じ方が多少変わっていたかも。
ラヴクラフトといえば、 デル・トロ念願の実写プロジェクト 『狂気の山脈にて』の行く末も気になるところ。いまのところ目立った情報はないけど、完成前にこちらも原作を履修しておかねば!
10年前に制作されたというテスト映像。このときは結局実現には至らなかったそうだけど、最新技術で実写化されたらどうなっちゃうのかワクワクしかない。