はじめましての作家さん。本屋でたまたま見つけてなんとなく買ったらよかった短編集です。表紙BLっぽいけどそんなでもないので(当社比)おすすめです。
あらすじ
大事なものはいつも傍にあった。厳格な父に縛られ生きてきた青年・石川。
KADOKAWA公式Webサイトより
父の死後、どこか様子がおかしくなってーー。男性ふたりの特別な友情を描く表題作「四十九日のお終いに」ほか、漫画誌ハルタに掲載されたすべての読切&商業未発表作品を収録。
感想
漫画誌『ハルタ』に掲載された読切3本と商業未発表作品5本に、描きおろし漫画1本を加えた全9本の短編集です。
どれも派手な事件は起こらないけど会話が心地いい系の漫画で、穏やかな気持ちで読めます。疲れてる夜に読んだら寝てしまうかもしれない。実際わたしは後半で1回寝た。退屈とかではなく、リラックスできている証拠です。ドロドロした漫画ばっかり手に取ってしまう私はときどきこういう漫画で心を浄化しなくてはならないのだ(最近『レッド』読んで鬱々してたのでちょうどよかった)。
表紙にもなってる表題作よりも、個人的には『海はいかない』と『虫(と武器)よ、さらば』と『しらない人』が好みでした。
『海はいかない』
こういう距離感の女友達最高だよね……な作品。夏の空気感の描き方がいい。近所の年配女性もかっこよくて最高。タバコが似合う大人の女性って私の中で永遠に桃井かおりなんだよな~って何となく調べたら御年72歳でひっくり返った。わたしも30代に突入するわけだ。
『虫(と武器)よ、さらば』
不気味な転校生の秘密。冒頭の主人公の回想とのつながり方が気持ちよかった。教科書のラクガキが懐かしくて笑う。
『しらない人』
ちょっとSF? 街で偶然出会った人との不思議な会話。姿が違っても好きな人のことはなんとなくわかるものなのかも。
あ、あと男子高校生と女子高校生が電車でだべるだけの『旅は道連れ』もよかったです。窓からホームセンターのコーナン見つけたときの会話がなんかツボだった。ホース……。
同作者の連載デビュー作『いやはや熱海くん』も2巻まで出てるとのことなので、そっちもそのうち読んでみたいと思います。