カロリー高い作画を摂取したい気分だったので、実家の本棚に置いてあった小田ひで次先生の『拡散』を読み返しました。
あらすじ
孤独な少年・東部克彦は、自らを繋ぎとめておくことが出来ず、世界中に“拡散”する現象に翻弄されている。幼馴染みの瀬下あざみは克彦を必死にとどめようとするが……。
書籍紹介より
感想
岩手出身の漫画家・小田ひで次(おだひでじ)先生の連載デビュー作。1992年に「月刊アフタヌーン」に初掲載されたそうなので、私と同い年の作品ということになります。
読んだことない人はサラッと試し読みしてもらえるとわかると思うんだけど、とにかく描き込まれてる線の量がとんでもないの。トーンとか一切使ってないの。これ月刊ペースでも仕上げるの難しくね? って思って調べたら年1話ペースで6年かけて完結させたらしい。大御所ならまだしも新人作家でそんな連載スタイルほかに聞いたことがない(笑)。
ストーリーは、自分の意思とは無関係に心身が世界中に“拡散”してしまう少年・克彦の壮大な自分探し……ってとこでしょうか。なかなかダークで壮大なSFファンタジーです。学生時代に初めて読んで難解だなーと思ったラストは、30過ぎて読み返してもやっぱり難解だった。深く考えたら負けなのか。
作中では克彦が拡散しながら何人かの女性と関わるんだけど、その女性たちが結構悲惨な目に遭うんだよねえ~。でも同時に女性の強さも感じ取れて元気出ます(強くたくましい女性といえば新井英樹の『宮本から君へ』の中野靖子とかもめちゃくちゃ好き)。
禍々しくて美しい克彦の夢のシーンは何度でも読み返したい!
ビームコミックス版は紙でしか出てないけど、アフタヌーンコミックス版は電子書籍化されてるのでこれから読む方&読み返したい方はぜひ。アフタヌーン版はインクが青いのね。