『ルックバック』でいま話題の藤本タツキ作品! 2年前の短編を今更ながら読みました。
あらすじ
私が死ぬまでを撮ってほしい──病の母の願いで始まった優太の映画制作。母の死後、自殺しようとした優太は謎の美少女・絵梨と出会う。2人は共同で映画を作り始めるが、絵梨はある秘密を抱えていた…。現実と創作が交錯しエクスプローションする、映画に懸けた青春物語!!
集英社公式サイトより
感想
「まんまと騙された~!!」 って読み終わってすぐにもう1周しちゃった。
話の内容もだけど、うっかり読み飛ばしちゃいそうな演出とか、コマの形とか、登場人物の共通点とか、再読したくなる要素が詰まってました。
どこまでが創作でどこからが現実なのかっていうのは、解釈分かれそうなので誰かと話したい。以下、ネタバレ感想です。
ネタバレ感想
ポチっと押してネタバレを読む
絵梨の友人の証言(メガネと矯正器具の話)を見て、あの出会いのシーンは作られたものだったのねー!と衝撃受けました。確かに読み返してみると、自己紹介のセリフのフォントとかわざとらしい。笑
観客ブチ泣かした後のピースサインで、これ実は絵梨生きてる!? って一瞬思っちゃったけど、袖が男子制服だし、やっぱ絵梨が亡くなってるのはホントなんだろうなぁ。
で、最後のシーン。はじめに読んだときは、大人になった優太がお父さんに似てたから、生前の絵梨と優太のお父さんで撮影してる? って思ったんだけど……よく見ると眉毛の形とか顔つきとかちょっと違うんだよね~。2人がほとんど一緒の画面に映らないところを見ると、やっぱ絵梨だけ別撮りしてて、何年後かの優太の映像と合成してる感じなのかな。だから最後同じソファに座れないのかなーと思うと切ないね……。
優太の後日談、交通事故で自分以外の家族全員亡くしたとか結構サラッと悲しいことが書いてあって、ここはフィクションであって欲しいと思ってしまったよ。 けど、優太が再び家族を亡くしたことで、今度は誰に頼まれるでもなく自発的に映画の続きを撮る気持ちになったのかな~とかいう気もしないでもないので複雑です。
そして爆発オチで、「優太の映画といえば爆発」の伏線を華麗に回収。音楽とかも映画とかもそうだけど、子どもの頃から好きなものって結局変わらないよね~。優太が爆発オチの映画を撮ることで、愛する人の死から立ち直れてると良いなと思う。
そもそもはじめから全部創作で誰一人死んでなくて、登場人物全員役者だったら……って線も考えてみたけど、それじゃ「創り手が傷つかなきゃフェアじゃない」的なお父ちゃんの発言も意味なくなっちゃうしな。公式のあらすじにも「現実と創作が交錯しエクスプローションする」って書いてあるしな。うーん。何度も読み返しながらあーでもないこーでもないって考察するのが楽しい作品でした。
次は野良猫だけの映画とか撮ってくれないですかね優太先生。最後はもちろん爆発オチで!(極悪ブリーダーの家とか爆破させちゃお)
おまけ
吸血鬼が云々…っていう設定が出てきたときに、映画『ぼくのエリ』(邦題がアレなやつ)が元ネタか~! って思わず膝を強打しちゃった。こういう気づきがあると、何となくでもいろんな映画観てきて良かったなと思う。
タツキ先生は映画マニアらしいので、自分の気づかないところでいろんな映画ネタが仕込まれてるんだろうな。これからもたくさん映画観るぞ。