35冊目『売野機子短篇劇場』売野機子【今日のまんが2022】


ネットで買い物してたらおすすめに出てきて目に留まった1冊。知らない作家さんだったけど、レーベルは私の好きなBEAMCOMIXだし表紙も良さげだったのでポチったら、これがまあ素敵な出会いでした。

内容は題名のとおり短篇集で、ガールフレンドを溺愛する男の子とか、事務所クビになったイケメン俳優とか、成人式に出なかった女の子とか、良い人になりすぎちゃう委員長とか、主人公はバラバラなんだけど、どれも心がほんのりヒリヒリする話。でも読後感は爽快。特に大きな事件が起こるわけではないのに惹き込まれるのは、作者の心理描写の上手さと洞察力の高さからなのかも。あとがきまで丁寧で読み入ってしまった。

わたしは漫画にしても映画にしても文章にしても短ければ短いほど作り手の技量が試されると思ってて、そういう意味でこの短篇集は裏切らない作品。
90年代の少女漫画を想起させる絵柄(決して古臭いわけではない)で、「ネトフリ」とか「あつ森」とかいうワードが出てくるので脳がバグるような不思議な感覚を味わえます。あと、個性的なオノマトペも必見。「デカダーン」とか「IIN-CHOP」(※委員長のチョップ)とか大好き。

ちなみに私は今まで羽生生純の「ポリプロピレン♪」を超えるオノマトペに出会ったことがない(確か『無法使いアッポちゃん』に収録されてた)。ほかに良いオノマトペあったら教えてください。対戦お待ちしております。

話を元に戻して『売野機子短篇劇場』、絵はもとより箔押し風の装丁も美しいので電子より紙で手に取ることをおすすめします。早くほかの作品も読み漁りたい〜!

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